「破門 ふたりのヤクビョーガミ」時系列まとめ等
私はステマどころかダイマも苦手な人種である。
思えば昔から読書感想文も苦手だった。「ここが良かった。なぜなら~」と語りだし、自分の体験談等を重ね合わせながら書く、いうのが感想文の鉄板だと思うが、私は「なぜ良かったと感じたのか?」がいまいち分からないことが多い人間だった。感受性が低いのか、心の表情筋が乏しすぎて自分自身でも感情が分からないことも多い。それは大人になっても変わらずで、およそ「つらい」「しんどい」「┏┛墓┗┓」で感想を済ませてしまうことも多い。とにかく自担が可愛いのがいけない。いや、いい。とにかく自担が最高of最高でTop of the (my) World なので致し方ない。
しかしレポートや考察となると話は別だと思い立ち、特に映画「破門」に関してはとにかく多くの方に足を運んでいただきたい、そして続編に繋げたいという気持ちが非常に強いため、私なりに考察や出来事の時系列等をまとめていきたいと思う。ここまでで分かって頂けたかと思うが、
どちらかといえば既に鑑賞された方向けの記事です。
あれって結局どういうことだったの?結局いつの出来事だったのよ??等色々確認したい方におすすめ。
ということで激しくネタバレを含む考察・感想は以下からどうぞ。都度加筆修正するかも。
間違い等ございましたらご指摘頂けると助かります。ちなみに大変初心者で恐縮ですが、原作は疫病神と破門の二作を読んでおりますが、熟読は出来ていません。ドラマは未見です。
1)時系列まとめ
ちなみに破門の舞台は2015年(平成27年)です。
滝沢組のチンピラが乗っている車のフロントガラスに貼ってある車検の丸いステッカーは「27(平成27年)」ですし、二宮が今治の大同銀行で手続きをする際に記入している年月日も「150929」となっています。
それでは時系列にみていきましょう。
9月14日(月)
二宮企画に小清水が映画企画を持ち込む。*1
9月15日(火)
11:07 冒頭シーン。
XX:XX フィルム&ウェーブへ。*2
XX:XX 夜に実家に帰る二宮。嶋田に映画の出資について話をする。
9月18日(金)
11:02 「おい、いつまで寝とんねん。ぐうたら貧乏」
XX:XX 茨城の小清水の家へ。桑原、滝沢組と乱闘。
9月19日(土)
XX:XX 嶋田の元に滝沢組(組長・初見)が訪れる。白地手形の日付は9月18日。
11:32 二宮の元に嶋田から桑原の行方を尋ねる電話がある。*3
18:30 桑原と二宮、スナックで夕飯。
XX:XX 金本へお礼参り。
21:20 玲美の部屋で滝沢組(牧内・村居)と乱闘。
XX:XX 桑原、内藤内科で治療。
9月20日(日) *4
12:06 二宮と悠紀、二宮企画事務所で会話。
XX:XX 悠紀とスナック街で聞き込み開始*5
9月21日(月)
XX:XX 悠紀とスナック街で聞き込み*6
9月22日(火)
XX:XX 悠紀とスナック街で聞き込み*7
9月23日(水)
XX:XX 小清水の行方を突き止め、桑原に電話。*8
XX:XX 実家で母親からお金を借りる。*9
9月XX日 *10
XX:XX マカオへ出発
9月24日(木)
XX:XX 二宮・小清水・玲美、関空へ到着*11
9月25日(金) *12
XX:XX 玲美の部屋へ行く。
XX:XX 大同銀行で引き落とし失敗、桑原に捕まる。
XX:XX 組長に呼び出しを受ける嶋田・桑原。来週水曜までに滝沢組と話をつけるように言われる。*13
9月XX日
XX:XX 滝沢工業へ折り合いをつけにいく。
18:03 セツオ宅で飲む。*14
9月XX日
07:15 二宮起床。小清水が逃げている。
XX:XX カラオケボックスにて殴られる。
15:00 あべのハルカスにて滝沢組(初見・牧内)と取引。
9月29日(火)
XX:XX ふぐ食べて今治へ。
XX:XX 大同銀行で2500万円を引き出し、滝沢組とドンパチ。
X月XX日
XX:XX 桑原、破門される。
10月8日(木)
14:32 悠紀と二宮企画事務所で会話。
XX:XX 二宮がカラオケボックスへライターを返しに行く。
2)未確認事項と疑問点いろいろ
・小清水の大同銀行口座に2,500万振り込まれた日付が9月13日?→嶋田さんの出資金でないのでは?
・収入:トランク回収分(420万)*15+カジノ回収分(750万)*16+銀行回収分(2,500万円)=3,670万
支出:二宮(100万)+中川情報料(50万)+折り合い金(750万)+治療費ケン・セツオ(100万)=1000万
利益:2,670万
→嶋田には2,450万取り戻したと報告し、1,025万ずつの折半提案をしている。*171,025万×2=2,050万で嶋田の指摘通り400万足りない計算になる。桑原は「ケンとセツオの治療費に50万ずつ、二宮に300万やりました」と説明しているが、最終利益(推測)の2,670万と2,450万ではそもそも計算が合わないし、原作通りであれば二宮に300万は渡していない。
最終的に嶋田が1,000万、桑原が1,050万の取り分になっているが、上記のことを考えると桑原は利益の差分220万と二宮に渡していない200万があるので420万は別で確保している可能性がある。それも見越して嶋田は300万を包んで組長に侘びを入れろと言ったのかもしれない…(これに関しては原作を読まないと背景が分からないのかも)
・結局マカオ滞在は半日くらいだったのでは。
・カラオケルームの扉を閉めない二宮。閉めなさい!!!二重扉のひとつも閉めないの何なの!!!!
→監督からご回答いただきました。ロケハン時に変更したそうで、特に理由はないそうです。ないんかい!!!
3)個人的注目ポイント
映画を繰り返し見るに辺り「ここもチェックすると面白いよ!」と個人的に思ったポイントをまとめておきます。
■凸凹コンビの変化
最初はお互い「なんやねんこいつ」という目で見ている、この嫌い合っているバディ。
桑原の、フィルム&ウェーブで玲美をジロジロ見る二宮に対する視線、エレベーターで「見る目がないのう」と罵る時の表情、玲美の部屋で逃げた二宮に対する「今回のことでお前がどういう人間かよーく分かった」という言葉。
二宮も、「絡みのシーンがよろしいな」とか桑原にオネエちゃんから電話かかってきた時の表情、「その入れもん、中身入っとんのか?」と罵られてイラついたり、一方で「上品ねぇ…」と小馬鹿にしたり。とかく嫌々で付き合っているのに、なぜか一蓮托生。なんでなんだ。
それでも喧嘩になれば二宮を逃がそうとするし、中盤から役割分担する程度には二宮を使えると思い出す桑原。一方、桑原を利用しながらも、どこかで自分にはない男らしさに嫉妬や憧れのような感情を抱いているのか、周囲の言葉と共にまるでダメな自分を見つめ直す二宮。
「吐いたツバよう飲みませんねん」という二宮の言葉を聞いた時の桑原の表情は、二宮の認識を改めたような、ハッとした視線に見えたし、二宮にとっても「いつも他人事」「いざとなったら逃げるヘタレ」という自分から成長し、桑原にも本音で啖呵を切れるようになった真剣で良い表情だったと思う。あと二人共白目が綺麗だよね。そこが最高。
■二宮のドラテク
意外とすごい。なんでそんなドラテクがあるんだ。見所は玲美の部屋から逃げ出した後のUターンと、今治での滝沢組ひき逃げ(笑)シーン。実施はもちろんスタントさんだと思います。(顔が映ってないので)
■意外と和むBMW
鍵開ける時の♪ピョンピョン音が可愛い。挿入曲の「There's no me without you」の分類が「R&B 明るい☺」もほっこりポイント。思わず微笑んでしまう。明るいR&Bを車中で聞く上にカラオケの十八番なイケイケヤクザ…
■お母さん「ほんまぁ?あっ」
お金を借りに帰ってきた二宮なので、やはり後ろめたいのか夕飯を食べた後だけど実家のご飯もいただく。母親というものは子供が帰ってくると構いたくなるし、ご飯をちゃんと食べてる姿を見ると嬉しくなるし安心するものなのだ。(私は安心させる側ですが)
そこで「もらおかな」「ほんまぁ?あっ」って声あげて喜んじゃうお母さんが本当に可愛い。でも結婚指輪はなかなかにゴツい。極妻感なのか大阪感なのか。
■木下ケンの有能さ
「ケンはなぁ、本家の部屋住みやったんや。ワシみたいなチンピラと違ってエリートやねん」とセツオが語っているが、ケンの有能さは羽毛布団だけではない。
大同銀行から金を回収した後、脳天気にライターを借りる二宮に対し、ケンは角を曲がる際に右、つまり曲がったら背後になる方向に一瞬視線をやっている。そこできちんと滝沢組に気付いて、桑原に確認しているのだ。後は走り方、走り方がいいよね。めっちゃ速い走り方だよね。いいね。あと車持ってるから強いね。フロント部分に白いファー置いちゃうあたりヤンキー車っぽいよね。ナンバーは和泉580お12-29です確か。
■いないけどなんとなくいる「マキちゃん」
映画にはオカメインコのマキちゃんが登場しない。これについては小林監督が「キネマ旬報2月上巻」で触れているが、簡単に言うと動物は扱いが難しいから、ということで今作で登場はしなかったということだった。代わりといっては何だが、劇中には鳥モチーフの小道具がいくつも登場している。二宮企画に貼られている「幸せの黄色い鳥カレンダー」や(訂正:幸せの黄色いカレンダーでした。そしてモチーフはペガサスでした。)度々登場する瓶ビールは鳥っぽいロゴが付いているし、なにより二宮企画の事務所にはマキちゃんとおぼしき鳥の写真や鳥かごが置かれている。
■悠紀「天然のクエ、ご馳走してもらうねん」
二宮くんはフグ割烹でご馳走になってましたね…
■オネエチャンからの電話
オネエチャンから掛かってきた電話に対応する桑原を見て、二宮は「(羨ましい)(最低やな、このおっさん)」と思っているのに対し、中の人こと横山裕は「(夜は優しそう)」と思っていたとかいう爆弾発言*18は来世に伝えていくべき事実である。これを抱えてこのシーンを見ると何ともいえない気持ちになれる。おすすめ。
*1:悠紀の「昨日映画のプロデューサーいう人が来てたよ」発言より
*2:フィルム&ウェーブのホワイトボードにスケジュール(脚本打ち合わせ)と記載あり。
*3:嶋田のネクタイの柄が同じなので同日
*4:劇中に日付はないがシナリオで翌日とあり。桑原入院か。
*5:悠紀の服装が同じなので同日・青ニット
*6:悠紀の服装が変化・白地の黒い柄の服
*7:悠紀の服装が変化・黄色いセーター
*8:悠紀の服装が変化・星マークのTシャツにジャケット
*9:小清水宅で聞き込みしたときのおばさんのセーターと、お母さんの着てるセーターは色違いな気がする
*10:恐らく24日発
*11:シナリオでは夜に到着と記載
*12:二宮・小清水の服装が関空到着時と違うので1日経っていると考えるのが妥当
*13:桑原のネクタイが同じなので同日
*14:滝沢工業の時計は18:10辺りだったが、セツオの部屋のシーン開始時は18:03だった…口論終了時は18:45だったので色々つなぎに失敗したのでは…?
*15:劇中で二宮が「400…2,30ってとこですかね」と言っている
*16:1000万預けてはいるが全額取り返した描写がない
*17:シナリオ本では2,500万から小清水が50万使い込んだことになっている
*18:2/2大ヒット舞台挨拶15:20回